Voyage de paysan
〜ハーブ農家日誌〜
野生ラベンダーが精油になるまで パート2
#Vol.4
★前回の記事はこちらから
山から下ろして来たラベンダーと私とルソーさんは蒸留作業をするために蒸留所に残ります。
収穫で疲れている体に鞭を打ち、最後の大事な錬金術の作業に入るのです。
良質な精油と蒸留水を作るのに必要な原料はラベンダー、天然水、そして良質な蒸気です。
ここの蒸気は薪で温めた湧き水。
つまり収穫する場所に限らず、蒸留所の周りの環境、そして水の質も良くなければ本当に良いものは作れないと言うことです。
ここの蒸留器は全てルソーさんの手作り。その一滴一滴に気持ちが入ります。
私たちは1シーズンにつき約2トンのワイルドラベンダーを手摘みで収穫します。
手作業なので収穫量が少ない上、体力を必要とする大変な仕事です。
このように伝統的な収穫方法を取り入れている農家はフランスでも片手で数えられるほどしか残っていません。
農業の機械化と共に栽培されるラベンダーが増えて行きました。
ラベンダーを栽培する方が効率が良いからです。全て機械化、収穫も機械でやると随分手間が省けます。
しかし野生ラベンダーの力強い精油と別格として扱われます。
種類は同じでも、全く違う成分を含む精油に仕上がるのです。
野生ラベンダーに魅了されたいわゆる「オールドスタイル」の人々だけが、この作業を地道に続け、その技法を次の世代へと受け継いで行くのです。
石田佳奈子
Lien 代表。
2005年渡仏。
2017年、フランスでの農業修行を経て帰国。
自らも全ての生産過程に携わる、フランス産野生ラベンダー精油を取扱うブランド「Lien」を2015年に立ち上げる。
フランス、北海道、モロッコのハーブ生産に直接関わり、より品質の高い精油やハーブティーをプロデュース。
現代社会で忘れられた植物と人間のつながりを提唱し、フランスのハーブの使い方、ハーブや精油生産の実態を広めるセミナーを全国で行なっている。
■Lien https://www.lienaroma.com/
■オフィシャルブログ http://aromedefrance.blog.fc2.com/
■facebook https://www.facebook.com/kanako.ishida.182
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